2019年の新語・流行語大賞は「ONE TEAM」でした。
これは言わずもがなラグビー日本代表が掲げたスローガンです。大賞を受賞したのは、日本代表の快進撃によって日本列島を熱狂の渦に巻き込んだ功績とともに、チーム一丸となって戦う姿に多くの人々が魅了されたからでしょう。
「ONE TEAM」になることは言葉ほど簡単ではありません。
またその必要性は十分理解していても、実現への道筋は多くの組織が頭を悩ませます。
集団は様々な性格・考え・価値観を持つ人の集まりです。ラグビー日本代表も半数近くが外国出身の選手でしたから、「ONE TEAM」になるためには多くの障壁が存在したはずです。
チームが一つになり、共通目的の達成を目指し進むときに必要なものは何でしょうか。
やはり大きな要素の一つはコミュニッケーションでしょう。
コミュニケーションとは表現し合い、理解し合うことです。ただ言葉をやり取りするだけでなく、チーム内のやり取りを通して異なるものを融合させ、その集団の色を創る。その過程でお互いのことをよく知れば、相手を尊重することにもつながります。
日本代表は同じ国の出身選手だけで固まらないようグループを作ったり、食事の時もコミュニケーションをとるようにしたそうです。また「君が代」の歌詞の意味を理解するために宮崎県の大御神社を訪れたり、合宿所にはシンボルとして赤い甲冑を置き異国の文化についての理解を深め、同じ目標と誇りをもって戦うことができたと聞いています。
仲間を信頼しなければ先頭を走れない、後ろへパスは繋げない、スクラムは組めない。
組織作りも同じです。効率化を優先する余り、コミュニケーションまでも省略していませんか。
また忙しさのあまり心を失い、お互いをわかり合う過程をなおざりにしていませんか。
自分の考えはしっかり表現し、伝えあう。その上で考えの違いを受け入れ、共有しあい、共に成長する。
—どんなに便利な時代がやってきても人と人とが分かり合い、信頼の絆でつながり合うコミュニケーションの大切さは変わりません。
人々が「ONE TEAM」に魅了されたわけ。
それは、コミュニケーションによって高められたチームだけが持つことを許された、底知れぬパワーを再認識した証ではないでしょうか。