コラム

成人式の祝辞から学ぶ大人の姿勢

「みなさん、『聴く力』はこれからとても大切です。聴く力を持って歩んでください。」

1月13日は成人の日。今年も各地で式典が行われました。
晴れ着を身にまとい、新成人として希望に満ちた一歩を踏み出す若者たちの顔は光り輝いています。
未来を担う社会の宝としてエールを送り、大切に育てていきたいものです。

先の言葉はそんな厳かな成人式の壇上から、ある中学校の恩師が発しました。
あまりにも私語が多くざわざわとした雰囲気に苦言を呈したものですが、これは成人を迎えた若者たちだけでなく、実は後方にいた保護者達にも向けられていたことに気づいた人はそれほどいません。

一生に一度という大切な式をそんな雰囲気に変えてしまう一端を担ったのは誰でしょうか。
隣のママ友との止むことのないおしゃべり、笑い声、スマホのシャッター音、うっかり鳴らした着信音、祝辞を述べる来賓に目もくれずスマホ画面に注がれ続ける視線…。
式の間に保護者席から絶え間なく響く雑音と散漫な態度が広い会場を漫然とした雰囲気に変えていくのです。

「自分が今したいことをする」「自分の気持ち通りに動く」
こうした姿勢は、私たちから他者への配慮や思い遣りを奪っていきます。
大人の仲間入りをする新成人へ、前を歩く私たち大人は見本となる背中を示せているでしょうか。

傾聴とは己の欲求との葛藤の果てに手にできるスキルです。
この心構えはお客様をもてなすとき、部下を指導するとき、営業をしているとき、指示を受けるとき…かかわりを構築するすべての場面で基本となる考え方です。

個人の価値観や気持ちが重視される時代だからこそ不可欠であり、私たちはコミュニケーション研修やリスニング研修などでこの考え方をスキル以上に心を込めてお伝えしています。

「みなさん、『聴く力』はこれからとても大切です。聴く力を持って歩んでください。」

新成人に向けられた言葉はそのまま私たち大人の胸にも刻み込みたいものです。

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