コラム

「こと」の使い方を憂う

2021年卒の新卒採用がいよいよ本格化します。
就活ルールの変更により、今年の動きは例年よりさらに早くなると予想されています。
そんな動きの中、売り手市場とはいえ学生の意識も日に日に高まっているように感じます。

現在、大学3年生を中心に履歴書の添削をたくさんしています。
添削中、ある共通する表現が気になってよく手直しをします。

それは「こと」の使い方です。

「~することができます」「~することで~」「~ということを」といった
「こと」が多用されているのです。

多い時は1文に3~4回出てきます。

「○○を取得することができ、この経験により△△を上達させることだけでなく、
集中力を身に付けることや□□を感じ取ることにつながりました。」

ちょっと回りくどく、冗長な印象を受けます。

この表現をあえて端的に表すと
「〇〇を取得し、この経験により△△を上達させ、集中力を身に付け、
□□を感じ取れるようになりました」
となるのでしょう。

履歴書やエントリーシートは自己PRをする場です。
しかし、自分で自分の特徴や強みを伝える構造上、
なにやら直接表現するのは抵抗を感じる学生が多いようです。

「~みたいな感じ」「~的」「~の方」「~する形となる」「~でよろしかった」といった表現も
直接的に表現しない言葉の例です。
相手に配慮する必要はありますが、多用しすぎると自信がない印象を与えてしまいます。

また、「こと」は明確な表現をせずに何にでも当てはめられるため都合のよい言葉です。
例えば6行前のこの文章の中にある
「自分で自分の特徴や強みを」とありますがこれは
「自分で自分のことを」と表現した方が楽です。

語彙力がない学生はすべて「こと」で済ませてしまいます。
その「こと」は何を表現しようとしているのか。
その「こと」をもっと明確にした方がきっと自分の特徴が伝わります。
語彙力をフル稼働させ、表現する力を身につけたいものですね。

コラム一覧に戻る